2025年10月21日未明、世界最高峰のピアノコンクールの一つである「第19回ショパン国際ピアノ・コンクール」のコンクール結果速報が発表されました。日本から出場した桑原志織さんが、見事4位入賞という輝かしい成績を収めました。
今回のコンクールでの日本人の活躍に注目していた方も多いでしょう。この記事では、桑原さんのファイナルの演奏や選んだ演奏曲目、そして話題となったファイナルの衣装について詳しく解説します。
また、全ファイナリスト一覧と最終結果、桑原志織さんのプロフィールや、なぜ彼女がシルバーコレクターと呼ばれるのか、さらには今後のコンサート予定まで、桑原志織さんのショパンコンクール2025での4位入賞に関して、読者が知りたい情報を網羅してお届けします。
この記事でわかること
- ショパンコンクール2025の最終結果と全ファイナリスト
- 4位入賞を果たした桑原志織さんのファイナルでの演奏内容
- 桑原さんの経歴や「シルバーコレクター」と呼ばれる理由
- 凱旋公演など、今後のコンサートに関する最新情報
桑原志織ショパンコンクール2025で4位入賞の快挙

- ショパンコンクール2025の結果速報
- 桑原志織は見事4位入賞
- 栄光を掴んだファイナリスト一覧
- 感動を呼んだファイナルの演奏
- ファイナルでの演奏曲目
ショパンコンクール2025の結果速報
2025年10月21日(日本時間)、ポーランドのワルシャワで開催されていた第19回ショパン国際ピアノ・コンクールの最終結果が発表されました。原則5年に一度開催されるこのコンクールは、若手ピアニストの登竜門として世界的な注目を集めます。
今回のファイナルは10月18日から20日までの3日間にわたって行われ、審査員長ギャリック・オールソン氏のもと、11名のファイナリストが協奏曲などを演奏しました。
注目の最終結果は以下の通りです。
第19回ショパン国際ピアノ・コンクール 入賞者
| 順位 | 受賞者名 | 出身国 |
| 第1位 | エリック・ルー(Eric Lu) | アメリカ |
| 第2位 | ケヴィン・チェン(Kevin Chen) | カナダ |
| 第3位 | ワン・ズィトン(Zitong Wang) | 中国 |
| 第4位 | リュウ・テンヤオ(Tianyao Lyu) | 中国 |
| 第4位 | 桑原 志織(Shiori Kuwahara) | 日本 |
| 第5位 | ピオトル・アレクセヴィチ(Piotr Alexewicz) | ポーランド |
| 第5位 | ヴィンセント・オン(Vincent Ong) | マレーシア |
| 第6位 | ウィリアム・ヤン(William Yang) | アメリカ |
また、各部門で優れた演奏を見せたピアニストには、以下の特別賞が贈られました。
特別賞
- 最優秀協奏曲演奏賞: リュウ・テンヤオ(中国)
- 最優秀マズルカ演奏賞: イェフダ・プロコポヴィチ(ポーランド)
- 最優秀ポロネーズ演奏賞: リ・ティエンヨウ(中国)
- 最優秀ソナタ演奏賞: ワン・ズィトン(中国)
- 最優秀バラード演奏賞: アダム・カウドゥンスキ(ポーランド)

桑原志織は見事4位入賞
前述の通り、日本の桑原志織さんは、見事4位に入賞しました。
今回の4位入賞は、中国のリュウ・テンヤオ氏との同時受賞となります。ショパンコンクールにおいて日本人が入賞するのは、2021年の前回大会で反田恭平さんが第2位、小林愛実さんが第4位に入賞して以来の快挙です。
過去には1970年に内田光子さんが第2位に入賞するなど、歴史あるコンクールで再び日本人ピアニストがその実力を世界に示しました。桑原さんの深い音楽性と確かな技術が、本場ワルシャワの聴衆と審査員に高く評価された結果と言えます。
栄光を掴んだファイナリスト一覧
今回のコンクールでは、予備予選免除者を含む参加者の中から、厳しい予選を勝ち抜いた11名がファイナリストとして最終選考に臨みました。
ファイナリスト11名は以下の通りです(アルファベット順)。
- ピオトル・アレクセヴィチ(Piotr Alexewicz) / ポーランド
- ケヴィン・チェン(Kevin Chen) / カナダ
- デビッド・クリクリ(David Khrikuli) / ジョージア
- 桑原 志織(Shiori Kuwahara) / 日本
- ティエンヨウ・リー(Tianyou Li) / 中国
- エリック・ルー(Eric Lu) / アメリカ
- ティエンヤオ・リュ(Tianyao Lyu) / 中国
- ヴィンセント・オン(Vincent Ong) / マレーシア
- 進藤 実優(Miyu Shindo) / 日本
- ワン・ズィトン(Zitong Wang) / 中国
- ウィリアム・ヤン(William Yang) / アメリカ
入賞した6名(同時受賞者含む8名)以外の3名、デビッド・クリクリ氏、ティエンヨウ・リー氏、そして日本の進藤実優さんには「ファイナリスト(入選)」としてのディプロマが授与されます。
感動を呼んだファイナルの演奏
Chopin Institute
桑原志織さんは、ファイナル最終日である10月20日(現地時間)の夜のセッション、全演奏者の最後を飾る「大トリ」として登場しました。
彼女の演奏は、これまでの予選でも見せてきた懐の深さや音色の豊かさに加え、ファイナルの大舞台でオーケストラと一体となった見事なアンサンブルが絶賛されています。
音楽ジャーナリストの飯田有抄氏は、桑原さんの演奏について「もっとも豊かでダイナミックなオーケストラとの協調性が生まれていた」と高く評価しています。特に協奏曲では、アンドレイ・ボレイコ氏指揮のワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団を、桑原さんが優しく、そして頼もしくリードしていく様子が印象的でした。
ピアノ独奏とオーケストラが互いに触発され合い、音楽的な対話を高めていく様な演奏は、会場の聴衆を深く感動させ、演奏終了後は長く鳴り止まない大きな拍手と声援に包まれました。
ファイナルでの演奏曲目
ファイナルで桑原志織さんが選んだのは、独奏曲とピアノ協奏曲の2作品です。
幻想ポロネーズ ヘ短調 Op.61
ショパン晩年の傑作の一つである「幻想ポロネーズ」は、単なる華やかさだけでなく、深い内面的なドラマが描かれる作品です。
桑原さんは、この作品が持つ幻想的な側面とポロネーズのリズム感を両立させながら、彼女らしい誠実で自然な音楽づくりを展開しました。揺るぎないテクニックに裏打ちされた知的な解釈で、作品の物語性を深く掘り下げ、多彩な音色を使い分けながらドラマティックな展開を鮮やかに描き出しました。
ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11
協奏曲には、ショパンが故郷ワルシャワを離れる直前に作曲した、若き日の情熱と詩情に満ちた「ピアノ協奏曲 第1番」を選びました。
約4分半に及ぶオーケストラの重厚な序奏の後、桑原さんのピアノが加わると、凛とした響きがホール全体、そしてオーケストラ全体へと広がっていきました。
第1楽章は、技巧的なクライマックスに向けての構築が見事であり、繊細で感傷的な感情表現も際立っていました。
第2楽章では、心に響く叙情的なパッセージを温かみのある美しい音色で歌い上げ、音楽が自然に呼吸しているかのような豊かな感情表現を聴かせました。
そして第3楽章では、キレの良いリズムと生き生きとした音楽性で、コンクールの締めくくりに相応しい祝祭感を演出し、オーケストラとの一体となった演奏で満場の聴衆を魅了しました。
桑原志織ショパンコンクール2025の4位入賞を深掘り
- 他の日本人の活躍と結果
- 注目されたファイナルの衣装
- ピアニスト桑原志織のプロフィール
- シルバーコレクターと呼ばれる理由
- 今後のコンサート予定をチェック
他の日本人の活躍と結果
今回のコンクールでは、桑原志織さんとともに、愛知県大府市出身の**進藤実優さん(23歳)**もファイナルに進出しました。
進藤さんもファイナリスト11名のひとりに選ばれ、ファイナルでは見事な演奏を披露しましたが、惜しくも1位から6位までの入賞には至りませんでした。
しかし、予備予選からスタートし、長期間にわたるコンクールを勝ち抜いてファイナリストとして「入選」を果たしたことは、彼女の卓越した実力と精神力を証明するものです。桑原さんとともにファイナルの舞台に立った進藤さんの感動的な演奏は、多くの聴衆の心に強く残りました。
注目されたファイナルの衣装

ファイナルという大舞台において、桑原さんが着用したステージ衣装も注目を集めました。
彼女が選んだのは、黒地をベースに美しい花柄が大胆にあしらわれたロングドレスでした。一部では、フランスの高級ブランド「レオナール(LEONARD)」のものではないか、とも言われています。
このドレスは、長袖で演奏のしやすさも考慮された素材のように見受けられ、桑原さんの色白で品の良い雰囲気に非常によく似合っていました。
世界的なコンクールを数多く経験してきた彼女ならではの、演奏面での機能性と、聴衆や審査員にインパクトを与えるビジュアル面の両方を考慮した、素晴らしい衣装選択であったと考えられます。
ピアニスト桑原志織のプロフィール
ここで、輝かしい成績を収めた桑原志織さんのプロフィールをご紹介します。
経歴
- 生年月日: 1995年10月11日(30歳)
- 出身地: 東京都
- 学歴:
- 4歳からピアノを始める。
- 学習院初等科、女子中等科を卒業。
- 東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校に進学。
- 2018年3月: 東京藝術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻を首席で卒業。
- 卒業時に安宅賞、アカンサス音楽賞、大賀典雄賞、同声会賞、三菱地所賞、平山郁夫文化芸術賞など、多数の賞を受賞。
- 2018年4月: ベルリン芸術大学大学院ソリストマスター課程に入学。
- 2020年: 同課程を最優秀で修了。
- 2023年: ベルリン芸術大学大学院の国家演奏家資格課程(ドイツの音楽大学における最高学位)を最高点で卒業。
- 師事: これまでに斎藤恵美子、須田眞美子、伊藤恵、クラウス・ヘルヴィッヒの各氏に師事。
幼少期から卓越した才能を発揮し、国内のコンクールで優秀な成績を収めると、東京藝術大学を首席で卒業。その後ドイツに渡り、研鑽を積んできた実力派ピアニストです。

シルバーコレクターと呼ばれる理由
桑原志織さんは、その圧倒的な実力と輝かしいコンクール実績から、親しみと尊敬の念を込めて**「シルバーコレクター」**と呼ばれることがあります。
これは、彼女がこれまでに出場した数々の権威ある世界的な国際ピアノコンクールにおいて、**第2位(銀賞)**を次々と獲得してきたためです。
主な国際コンクールでの第2位受賞歴
- 2014年: 第83回日本音楽コンクール ピアノ部門 第2位
- 2016年: 第62回マリア・カナルス・バルセロナ国際音楽演奏コンクール(スペイン) 第2位
- 2017年: 第68回ヴィオッティ国際音楽コンクール(イタリア) 第2位
- 2019年: 第62回ブゾーニ国際ピアノコンクール(イタリア) 第2位
- 2021年: 第16回ルービンシュタイン国際ピアノコンクール(イスラエル) 第2位(日本人歴代最高位)
これだけ多くの、しかも難関とされる国際コンクールで安定してファイナルに進出し、常にトップクラスの成績(第2位)を収め続けることは、極めて困難であり、彼女の持つ音楽性と技術がいかに高いレベルで安定しているかを示しています。
「シルバーコレクター」という愛称は、彼女が世界の舞台で常に頂点に近い位置にいることの証明でもあります。そして今回、ショパンコンクールという最高の舞台で4位入賞を果たしたことは、彼女の輝かしいキャリアに新たな1ページを加えました。

今後のコンサート予定をチェック
ショパンコンクールでの活躍を受け、桑原志織さんの今後の活動や、凱旋公演、リサイタル情報に大きな注目が集まっています。
現時点(2025年10月21日)で公表されているコンサート情報として、2026年3月にファゴット奏者ウィリアム・ショート氏とのリサイタルが予定されています。
ウィリアム・ショート ファゴット・リサイタル(ピアノ:桑原志織)
| 日程 | 開演時間 | 会場 |
| 2026年3月7日(土) | 14:00 | 宗次ホール(名古屋) |
| 2026年3月8日(日) | 14:00 | La Campenella ラ・カンパネッラ(大阪) |
| 2026年3月9日(月) | 19:00 | アーティストサロン”Dolce”(東京) |
また、ショパンコンクールの「入賞者ガラ・コンサート」が日本で開催される予定(主催:ジャパン・アーツ)となっており、4位入賞者である桑原さんも出演する可能性が非常に高いと考えられます。
これらの最新情報は、桑原志織さんの公式ホームページや、主催者であるジャパン・アーツなどのウェブサイトで随時発表される見込みです。コンクールの感動を再び味わうためにも、今後の情報をぜひチェックしてみてください。

まとめ:桑原志織ショパンコンクール2025の4位入賞
- 桑原志織が第19回ショパン国際ピアノコンクールで4位入賞
- 中国のリュウ・テンヤオ氏と同時受賞となった
- 1位はアメリカのエリック・ルー
- 2位はカナダのケヴィン・チェン
- 3位は中国のワン・ズィトン
- 日本からは進藤実優もファイナルに進出(入選)
- 桑原さんはファイナルの大トリとして演奏
- ファイナル演奏曲は幻想ポロネーズ Op.61
- 協奏曲はピアノ協奏曲 第1番 Op.11を演奏
- オーケストラとの見事なアンサンブルが高く評価された
- ファイナルの衣装は黒地に花柄のロングドレス
- 桑原さんは1995年生まれ東京都出身の30歳
- 東京藝術大学を首席で卒業
- ブゾーニやルービンシュタインなど主要コンクールで2位を多数受賞
- 「シルバーコレクター」と呼ばれる輝かしい経歴を持つ
- 2026年3月にはファゴット奏者とのコンサートが予定されている
- 入賞者ガラ・コンサートの日本公演も期待される






