松本人志になぜ「復帰するな」の声?賛否両論とDOWNTOWN+の今

松本人志になぜ「復帰するな」の声?賛否両論とDOWNTOWN+の今
出典:ダウンタウン+公式サイト

2025年11月1日、お笑いタレントの松本人志氏が、約1年10ヶ月ぶりに芸能活動を復帰しました。復帰の舞台として選ばれたのは、吉本興業が新たに始動させた独自の有料配信サービス「DOWNTOWN+」です。この復帰に対し、世間の反応は大きく二分しています。

活動休止の発端となった疑惑に関する訴訟取り下げという経緯もあり、復帰に否定的な声や、復帰しないでほしいという意見も根強くあります。実際に、復帰反対を訴える署名活動なども報じられました。一方で、生配信での第一声には大きな注目が集まり、復帰を待ち望んでいたファンの声も非常に多く聞かれます。

この状況は、賛否両論が渦巻く複雑な様相を呈しており、今後の地上波 復帰の見通しについても様々な議論が交わされています。この記事では、なぜ復帰に否定的な意見が存在するのか、そして活動再開の現状とそれに対する多角的な反応について、客観的な情報を整理してお伝えします。

この記事でわかること

  • 復帰に否定的な意見が生まれる具体的な背景
  • 復帰の舞台となった「DOWNTOWN+」のビジネスモデルと戦略
  • 活動再開に対する世間の賛否両論(ファン、一般層、専門家の視点)
  • 今後の地上波復帰の可能性と各テレビ局のスタンス
目次

松本人志氏に「復帰するな」という意見が出る背景

  • 訴訟取り下げと活動休止の経緯
  • 復帰に慎重・否定的な意見
  • 署名活動に見る世論の二分
  • 地上波復帰のハードルと各局の姿勢

訴訟取り下げと活動休止の経緯

松本人志氏の活動休止は、2023年12月に週刊文春が報じた性的強要疑惑が発端です。記事では、複数の女性が過去に松本氏から性的な行為を強要されたと証言しました。

この報道に対し、松本氏側は内容を強く否定。2024年1月には「裁判に注力するため」として芸能活動の休止を発表しました。その後、発行元の文芸春秋などを相手取り、5億5千万円の損害賠償と訂正記事の掲載を求める名誉毀損訴訟を提起しています。

裁判は世間の大きな注目を集めましたが、2024年11月8日、松本氏側がこの訴えを取り下げることを発表し、文春側もこれに同意したことで、裁判は終結しました。吉本興業は公式サイトを通じて代理人弁護士の声明を発表し、その中で「強制性の有無を直接に示す物的証拠はないこと等を含めて確認いたしました」と説明しています。

しかし、この訴訟取り下げにより、疑惑の真偽が司法の場で明確に判断される機会は失われました。結果として、世間の一部が抱く疑念が解消されないまま活動復帰のプロセスが進んだ、という経緯が、復帰に否定的な意見が生まれる大きな背景となっています。

復帰に慎重・否定的な意見

前述の通り、裁判が取り下げという形で終結したため、活動休止の発端となった疑惑そのものに対する「説明責任」が果たされていないと感じる人々が少なくありません。

松本氏本人による記者会見や、疑惑の詳細に関する具体的な説明は行われないまま、活動再開が発表されました。この点について、インターネット上やYahoo!ニュースのコメント欄などでは、「結局、自分がやったことについてはうやむやのまま」「事件の説明もなく、事の顛末はどうなったのでしょうか?」といった厳しい意見が数多く見受けられます。

これらの声は、単なる感情的な反発というよりも、「疑惑が晴れていない以上、公の場での活動を再開するのは時期尚早である」という論理的な批判や、性加害疑惑に対する社会的な意識の高まりを反映したものと考えられます。活動再開という事実は受け入れつつも、そのプロセスやタイミングに疑問を呈する慎重な意見が根強く存在しています。

署名活動に見る世論の二分

活動再開をめぐる世論の二分化は、オンライン署名サイト「Change.org」での動きにも顕著に表れています。

報道によれば、2024年11月15日から非営利団体によって開始された「松本人志氏の復帰やめて! 性加害者の起用には絶対反対です」と題する署名キャンペーンには、多くの賛同が集まりました。2024年11月21日時点で37,000筆以上が集まったと報じられており、コメント欄には「誠実さのない対応で復帰をしようとしていることに反対です」といった、復帰のプロセスに対する不信感を示す声が寄せられました。

一方で、松本氏の復帰を強く望む人々による「偏向報道反対!私刑反対!松本人志さんをテレビで観たい」といった趣旨の署名活動も立ち上げられています。

メディアの報道では、復帰反対の署名数が賛成の署名数を大きく上回った(一説には約23倍の差)と指摘されており、少なくともオンライン署名という場においては、復帰に対して否定的な意見が可視化されやすい状況にあったことがうかがえます。これは、世論が単純な賛成・反対ではなく、複雑に分断されていることの証左とも言えます。

地上波復帰のハードルと各局の姿勢

今回の活動再開が、地上波テレビではなく独自の有料配信サービスという形になった背景には、スポンサーの意向に大きく左右される地上波復帰の構造的なハードルが存在します。

世間の意見が真っ二つに割れている人物をテレビ番組に起用することは、スポンサー企業にとって大きなリスクを伴います。番組内容に関わらず、起用そのものに対する抗議や、関連商品の不買運動などに発展する可能性が懸念されるためです。

この状況を裏付けるように、いくつかの動きが報じられています。

  • 「酒のツマミになる話」の終了:松本氏の冠番組であったフジテレビ系「人志松本の酒のツマミになる話」は、2025年内での放送終了が正式に発表されました。この決定については、松本氏不在の中でMCを引き継いだ千鳥・大悟氏が、松本氏のコスプレをして出演した回が局側のコンプライアンス上の判断でお蔵入り(放送見送り)になったことに対し、番組側が不信感を抱いたことが一因ではないかとも報じられています。
  • 各テレビ局の慎重なスタンス:民放各局は、松本氏の地上波番組への復帰について「具体的に決まっていることはない」(日本テレビなど)と、一様に慎重な姿勢を示しています。一方で、日本テレビは「DOWNTOWN+」に対し、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」の過去のアーカイブコンテンツを提供することを発表しています。これは、あくまでプラットフォームへのコンテンツ提供と、タレントとしての番組復帰は別問題であるという、各局の複雑な立場を反映していると考えられます。

これらの状況から、松本氏が近い将来に以前のような形で地上波の番組に本格復帰することは、極めて困難な道のりであると見られています。

松本人志氏は「復帰するな」という声と現在の状況

  • 1年10ヶ月ぶり 復帰の舞台
  • DOWNTOWN+ 始動という形
  • 生配信 第一声で語られたこと
  • DOWNTOWN+への反響
  • 歓迎するファンの声
  • メディアと専門家の多様な視点

1年10ヶ月ぶり 復帰の舞台

2024年1月の活動休止発表以来、約1年10ヶ月。松本人志氏は、2025年11月1日午後9時に、ついに公の場に復帰しました。

多くの人がその動向を注視していましたが、復帰の舞台はテレビのゴールデンタイムや満員の劇場ではありませんでした。選ばれたのは、吉本興業がこの日のために新たに立ち上げた独自のインターネット有料配信サービス「DOWNTOWN+(ダウンタウンプラス)」の初回生配信です。

この選択は、地上波復帰への根強い反発やスポンサーへの配慮といった障壁を回避し、まずは自身の復帰を待ち望むファンに直接応える形を取ったものと見られます。都内のスタジオには、DOWNTOWN+の年額プランに登録し、抽選で招待された約60人の観客が集まり、松本氏の登場を迎えました。

DOWNTOWN+ 始動という形

今回の活動再開の核となる「DOWNTOWN+ 始動」は、単なる復帰番組の開始ではなく、吉本興業による新たなコンテンツビジネス戦略の幕開けを意味します。

DOWNTOWN+ のサービス概要

スクロールできます
項目概要
サービス名DOWNTOWN+(ダウンタウンプラス)
開始日2025年11月1日
料金(税込)月額1,100円 / 年額11,000円
視聴方法スマートフォン(アプリ)、テレビ(アプリ)、パソコン
配信内容オリジナル新作
・「LIVE+」(松本氏による月1回の生配信)
・「7:3トーク」(ゲストと作業をしながらのトーク)
・「大喜利GRAND PRIX」 など
アーカイブ作品
・「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」トーク集
・松本氏の監督映画作品(「大日本人」など)

このビジネスモデルは、従来のテレビ放送(広告費モデル)や無料のYouTube(広告費・投げ銭モデル)とは一線を画す、完全なサブスクリプション(月額課金)モデルです。

放送作家の谷田彰吾氏は、この動きを「脱・広告」「脱・視聴率」の思想が背景にあると分析しています。不特定多数の最大公約数を狙う地上波の視聴率競争から離れ、スポンサーの意向にも左右されず、純粋な「お笑い」を追求する場を確立しようという意志の表れだと指摘しています。

また、NetflixやAmazon Prime Videoといった巨大プラットフォームと比較すると、月額1,100円という価格設定はコンテンツの総量に対して割高に見えるかもしれません。しかし、谷田氏は「これは『推し活』である」と考察します。「松本人志の新作が見られるなら支払う」という熱心なファン層を明確なターゲットとしており、「ここでしか見られない」という独占的な価値が価格設定の根拠になっていると見られます。

吉本興業はこの事業のために数十億円規模のファンドを組成したとも報じられており、単なるタレントの復帰事業ではなく、自社プラットフォームを核とした「吉本経済圏」の構築を目指す、社運をかけたプロジェクトである側面がうかがえます。

生配信 第一声で語られたこと

2025年11月1日午後9時、約60人の観客の前に、以前と変わらない金髪にスーツ姿で登場した松本氏。鳴り止まない拍手と「おかえりー」という歓声に、感極まったような表情を見せたと報じられています。

注目が集まった復帰の生配信 第一声は、「松本動きました」でした。

このフレーズは、2019年に吉本興業の後輩芸人らによる闇営業問題が発覚した際、事態の収拾に向けて自身のX(旧Twitter)で発信した「松本 動きます」という言葉を強く意識させるものでした。

その後、以下のように復活を宣言しました。

「なんかちょっと日本の笑いがしんどいと最近聞きまして、私復活することとなりました。よろしくお願いします!」

約1時間にわたる生配信では、時折目を潤ませる場面も見せながら、活動休止中の心境や、このプラットフォームを立ち上げた意図について、自身の言葉で語りました。

「待ってくれている人もいっぱいいたし、皆さんの時間を止めてしまった。たくさんの芸人仲間とか、後輩を巻き込んだりとかしました。テレビスタッフにもすごく迷惑をかけたと思うし、これ以上迷惑をかけられない」

「だからこそ、この場を作った。そんな人もいっぱい出られるようなプラットフォームができたと思っている。今、僕が思うのは感謝です」

疑惑そのものへの直接的な言及は避けつつも、迷惑をかけた関係者への謝罪と、復帰を待っていたファンへの感謝を表明する内容となりました。

DOWNTOWN+への反響

松本氏の復帰とDOWNTOWN+のスタートは、即座に爆発的な反響を呼びました。

サービス開始当日の11月1日、「DOWNTOWN+」の公式スマートフォンアプリは、日本のApp Storeにおける無料アプリダウンロードランキングで1位を獲得しました。また、X(旧Twitter)では「#ダウンタウンプラス」が世界のトレンドで1位を記録するなど、ネット上は「沸騰」と報じられるほどの盛り上がりを見せました。

吉本興業は具体的な会員登録者数を公表していませんが、関係者は「さすがダウンタウンだなという数字が出ている」とコメントしており、10月24日の事前登録開始時点から申込者が殺到し、一時的にシステムが繋がりにくくなる事態も発生していた模様です。

この熱狂的なスタートダッシュは、復帰に対する否定的な意見とは別に、松本氏の新作コンテンツを待ち望んでいたファン層がいかに厚く、熱量を持っていたかを明確に示す結果となりました。

歓迎するファンの声

活動再開に対しては厳しい意見がある一方で、それを上回るかのような熱烈なファンの声がSNSや各種メディアで確認できます。

Xでは、生配信が始まると同時に「ずっと待ってたよ!」「おかえりなさい!」「やっぱり松本人志面白すぎるwww」「久しぶりに松本人志見れて歓喜」「泣きそうになった」といった、復帰を心から喜ぶ投稿が溢れかえりました。

この歓迎ムードは芸能界にも広がっています。

  • Kis-My-Ft2 二階堂高嗣さん:自身のXに「DOWNTOWN+ 松本さんが!! いらっしゃる!動いてる!話してる!感動です! 62歳の再デビュー!!」と投稿し、興奮を伝えました。
  • ものまね芸人 JPさん:松本氏のものまねで知られるJPさんは、生配信終了後すぐに自身のSNSを更新。「最速」で復帰後の松本氏のものまね動画を披露し、「松本さんが動きましたので JPも動かせていただきました」と、ユーモアを交えて復帰を祝いました。

これらの反応からは、賛否両論の「否」の声とは別に、松本氏のお笑いを純粋に待ち望んでいた人々がいかに多かったかがうかがえます。

メディアと専門家の多様な視点

今回の復帰劇は、その特殊な形式も含め、メディアや専門家からも多様な視点で分析されています。

  • 否定的な見解(一般層):前述の通り、Yahoo!ニュースのコメント欄などに代表されるように、一般層からは「疑惑の説明責任が果たされていない」「うやむやのままの復帰はおかしい」といった批判的な意見が依然として多く、世間一般の納得を得るには至っていない状況が浮き彫りになっています。
  • 中立的な分析(専門家):桜美林大学の西山守准教授は、「登録しているファンはさておき、世の中一般の人は納得できないところは残ると思います」「地上波復帰は難しいでしょうが、まずはここからの再出発ですね」とコメント。ファンの熱狂と、一般社会との間に残る温度差を冷静に指摘しています。
  • 肯定的な評価(専門家):危機管理コミュニケーションを専門とする増沢隆太氏は、今回の復帰を高く評価。「『嫌なら見るな』という後ろ向きなものではなく、『松ちゃん見たい!』という声に応える道を創った」と分析。「スポンサーやアンチを気にする必要がないことは、圧倒的なお笑いフリーハンドを握ったようなもの」と、新しいプラットフォームの可能性に言及しています。

このように、松本氏の復帰は「疑惑」「人気」「ビジネスモデル」という複数の論点が複雑に絡み合っており、見る立場によってその評価が大きく異なる、まさに賛否両論の事象となっています。

松本人志氏の復帰を巡る「するな」という意見と現状のまとめ

  • 松本人志氏は2025年11月1日に約1年10ヶ月ぶりに活動を再開した
  • 復帰の舞台はテレビではなく新・有料配信サービス「DOWNTOWN+」だった
  • 活動休止の発端となった疑惑に関する訴訟は2024年11月に取り下げられた
  • 疑惑の真偽が司法の場で明確にされず、本人からの詳細な説明がないことが「復帰するな」という声の主な背景にある
  • 世間の反応は「賛否両論」で、復帰に否定的な意見と熱狂的に歓迎する声が二分している
  • 一部報道では、復帰反対の署名活動が賛成の署名数を大きく上回ったと指摘された
  • 「DOWNTOWN+」のアプリはApp Storeでランキング1位を記録し、Xでもトレンド世界1位になるなど、ファンからは爆発的な反響があった
  • 生配信での第一声は「松本動きました」であり、関係者やファンへの謝罪と感謝が述べられた
  • 「DOWNTOWN+」は月額1,100円(税込)の課金モデルで、「脱・広告」「脱・視聴率」を目指す吉本興業の新たな戦略と分析されている
  • 専門家からは「ファンの熱狂」と「世間一般の納得」との間に温度差があるとの指摘が出ている
  • 危機管理の専門家からは「スポンサーを気にせずお笑いができる」と肯定的な評価もある
  • 地上波復帰については、各テレビ局が「具体的に決まっていることはない」と極めて慎重な姿勢を維持している
  • 松本氏の冠番組だった「酒のツマミになる話」が年内終了するなど、地上波復帰のハードルは非常に高い
  • 今後の活動は、スポンサーの影響を受けない「DOWNTOWN+」が中心になると考えられる
  • 松本氏の復帰は、タレントの人気、社会的責任、メディアのビジネスモデルが交錯する複雑な事象となっている
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