南鳥島のレアアース採掘はいつから始まるのか、その詳細な計画が多くの産業界から注目を集めています。
2026年1月の試掘スケジュールによれば、わずか3日後の1月11日に探査船が出港を控えています。地球深部探査船「ちきゅう」を活用したこのプロジェクトは、前人未到である水深6,000メートルの挑戦がいよいよ実戦段階に入ることを意味します。
この海域には、日本の国内需要200年分の埋蔵量という驚異的な資源が眠っていることが判明しました。採掘には三井海洋開発などの参画企業が知見を絞ったエアリフト方式の仕組みが採用され、効率的な回収が目指されています。この試みが成功すれば、2027年商業化の展望が一気に現実味を帯びるでしょう。
長年の課題であった脱中国と経済安全保障の確立において、この国産資源の開発は極めて大きな意味を持ちます。特に重希土類の自給自足が実現することで、今後のEVや防衛産業への影響は計り知れないものになるはずです。日本が資源大国へと変貌を遂げる歴史的な転換点が、今まさに訪れようとしています。
この記事でわかること
- 2026年1月11日から開始される試掘試験の具体的な日程と作業内容
- 水深6,000メートルの深海から資源を吸い上げる世界初の技術的仕組み
- 2027年以降に予定されている商業化へのロードマップと採算性の見通し
- レアアースの国産化が日本の経済安全保障や先端産業に与える劇的なメリット
南鳥島レアアース採掘いつから?最新の工程を解説

- 2026年1月の試掘スケジュールと実施期間
- 地球深部探査船ちきゅうによる海底調査の開始
- 2027年商業化の展望と将来的なロードマップ
- 難攻不落な水深6,000メートルの挑戦と課題
- 国内需要200年分の埋蔵量がもたらす経済効果
2026年1月の試掘スケジュールと実施期間
南鳥島沖での本格的な試掘は、2026年1月11日の出港をもって幕を開けます。この歴史的なプロジェクトは、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環として進められてきました。実施期間は2026年2月14日までの約1ヶ月間を予定しており、その間の実作業期間は約20日間を見込んでいます。
海上での作業は、東京都小笠原村に属する南鳥島の排他的経済水域(EEZ)内で行われます。これまで数年間にわたり予備調査や小規模な試験が繰り返されてきましたが、今回のような大規模な試掘は世界でも例を見ない試みです。真冬の太平洋という厳しい海象条件下での作業となりますが、日本の海洋技術の粋を集めた準備が整っています。
この期間中には、海底から実際にレアアース泥を船上へ引き揚げる一連のプロセスが検証される予定です。試験が計画通りに進めば、日本は深海資源開発において世界をリードする立場を決定的なものにするでしょう。
地球深部探査船「ちきゅう」による海底調査の開始
今回の試掘の主役となるのは、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が保有する**地球深部探査船「ちきゅう」**です。世界最大級の掘削能力を誇るこの船が投入されることで、これまでは困難とされてきた超深海からの資源回収が現実に近づいています。
「ちきゅう」は全長210メートル、全幅38メートルの巨体を持ち、船体中央にそびえ立つデリック(掘削やぐら)が最大の特徴です。この設備を利用して、数千メートルにおよぶ揚泥管を垂直に下ろしていきます。かつて人類が到達できなかった深度へのアクセスを可能にするのは、この船が持つ高度な自動船位保持システムや深海底掘削技術があるからに他なりません。
現場海域では、精密なソナー探査と並行して揚泥管の展開が進められます。2022年に茨城県沖の水深約2,470メートルで成功させた試験結果を基に、今回はその倍以上の深度に挑戦することになります。作業の安全性と確実性を確保するため、船内では24時間体制でデータ監視とオペレーションが行われる予定です。
2027年商業化の展望と将来的なロードマップ
今回の試掘が成功した先に待っているのが、2027年を目標とした商業化への移行です。政府は2026年の試験結果を精査した上で、翌年には1日あたり350トンの揚泥を目指す大規模実証試験を計画しています。この段階では、単に資源を採るだけでなく、コストに見合う経済性が成立するかどうかが厳しく問われることになります。
商業化に向けたロードマップは、現在の試掘をフェーズ1とし、2027年の大規模実証をフェーズ2として位置づけています。その後、2030年代初頭には民間企業による本格的な採掘事業へとバトンを渡す構想です。これにより、これまで輸入に頼り切っていたレアアースの一部を国産資源に置き換えていく算段です。
ただし、深海からの採掘コストは陸上の鉱山に比べて高額になる傾向があります。そのため、政府は経済安全保障の観点から、長期的な支援策や税制優遇などの制度設計も視野に入れています。国産資源が市場で流通するためには、技術の確立と同時に、持続可能なビジネスモデルの構築が鍵を握ります。
難攻不落な水深6,000メートルの挑戦と課題
南鳥島沖のレアアース泥が眠る海底は、水深約6,000メートルという極限の環境にあります。この深度では、水圧が地上(1気圧)の約600倍という想像を絶する負荷が機材にかかります。このような過酷な条件下で安定的に作業を継続することは、現代の科学技術をもってしても容易なことではありません。
最大の問題は、6,000メートルという長大な揚泥管の重量と、潮流による振動への対策です。揚泥管自体の重さで管が破断したり、海流によって複雑な挙動を示したりするリスクが常に付きまといます。これらの課題を克服するために、特殊な合金を用いた管の採用や、振動を抑制するための最新の流体制御技術が投入されています。
また、海底に堆積しているレアアース泥は、長年の堆積によって固く締まっている箇所もあります。これをいかに効率的にほぐし、流体として吸い上げるかが技術的な焦点となります。こうした一つひとつの障壁を乗り越えることが、深海資源開発という未知の領域を切り拓くための絶対条件となっています。
国内需要200年分の埋蔵量がもたらす経済効果
南鳥島周辺海域には、日本の需要を200年以上も賄えると推定される膨大なレアアースが眠っています。この資源量は、これまで「資源小国」とされてきた日本の立ち位置を根本から覆す可能性を秘めています。
| 項目 | 詳細データ | 産業への意義 |
| 推定埋蔵量 | 日本の国内需要の約200年分以上 | 長期的な資源供給の安定化 |
| 含有元素 | ジスプロシウム、テルビウム等 | 高性能磁石に不可欠な重希土類 |
| 資源の品位 | 中国の陸上鉱山の約20倍 | 採掘効率の高さによるコスト相殺 |
| 環境特性 | 放射性物質が極めて少ない | 精錬工程における環境負荷の低減 |
これらの資源が安定的に供給されるようになれば、原材料価格の乱高下に悩まされてきた製造業にとって、強力な追い風となります。特に、他国からの供給制限リスクが解消されることで、企業はより長期的な視点での設備投資や技術開発が可能になります。日本国内に新たな資源採掘・精錬という巨大な産業市場が誕生することによる雇用創出効果も、大きな期待を集めています。
南鳥島レアアース採掘いつから始まるか社会への影響

- 脱中国と経済安全保障に向けた日本の重要戦略
- 泥を吸い上げるエアリフト方式の仕組みとメリット
- 三井海洋開発などの参画企業による技術開発
- 日本の悲願である重希土類の自給自足の実現
- 次世代のEV・防衛産業への影響と供給網の変化
- 南鳥島レアアース採掘いつから?内容のまとめ
脱中国と経済安全保障に向けた日本の重要戦略
レアアースの供給網において、現在は中国が圧倒的なシェアを握っています。しかし、2010年の尖閣諸島問題に関連した輸出規制以来、特定国への過度な依存は「経済的な脆弱性」として認識されるようになりました。南鳥島プロジェクトは、このリスクを打破するための国家的な経済安全保障戦略の要です。
2025年6月には、試掘予定海域付近を中国海軍の空母が航行するという事案も発生しました。このような地政学的な緊張感の中で、自国のEEZ内の資源を有効活用することは、主権を守るという意味でも極めて重い意味を持ちます。政府が多額の予算を投じて開発を急ぐ背景には、他国の政治的な意向によって日本の産業が左右される事態を、何としても回避したいという強い意志があります。
国産レアアースの確保は、日米同盟における日本の役割を強化することにも繋がります。アメリカもまた、ハイテク産業の基盤となる重要鉱物の中国依存を懸念しており、同盟国である日本が独自の供給源を持つことを歓迎しています。このように、南鳥島の開発は単なるビジネスの域を超え、国際秩序の中での日本の自律性を高めるための戦いなのです。
泥を吸い上げるエアリフト方式の仕組みとメリット
深海からレアアース泥を効率よく船上へ運ぶために採用されたのが、**「エアリフト方式」**と呼ばれる技術です。これは、海底まで伸ばした揚泥管の中に船上から圧縮空気を送り込む方法です。送り込まれた空気が気泡となって管内を上昇する際の浮力を利用して、泥と海水の混合物を一気に吸い上げます。
この方式の最大のメリットは、可動部が少ないため、深海の高圧環境下でも故障しにくいという点にあります。水深6,000メートルという極限状態で電気モーターなどを稼働させるのはリスクが高いですが、空気の力を使うこのシステムは非常にシンプルで信頼性が高いと考えられます。2022年の試験でもその有効性は実証されており、今回の水深6,000メートルへの適用においても、技術担当者は強い自信を見せています。
また、海底の泥をそのまま吸い上げるのではなく、先端部分で強力に撹拌して「泥水(スラリー)」の状態にすることも重要なプロセスです。これにより、管内での詰まりを防ぎ、連続的な採取が可能になります。シンプルでありながら計算し尽くされたこの仕組みが、不可能を可能にする鍵を握っています。
産業を変える3つの理由
今回のプロジェクトが日本の産業構造を劇的に変えると言われるのには、明確な根拠があります。読者の皆様が最も注目すべき、その主要な3つの理由を以下にまとめました。
【産業を変える3つの理由】
- 【理由①】重希土類の完全な自給自足による「資源大国」への転換これまで100%近くを海外に頼っていたジスプロシウム等の重希土類を自国で賄えるようになり、資源輸入国から事実上の資源保有国へと立ち位置が変化します。
- 【理由②】中国依存からの脱却と経済安全保障の抜本的強化地政学的リスクに伴う供給途絶や価格の乱高下から解放され、特定国の政治的な意向に左右されない強靭なサプライチェーンを国内に構築できます。
- 【理由③】EV・防衛産業における国際競争力の飛躍的向上最先端のモーターや電子機器に不可欠な材料を安定かつ安価に確保できる体制が整い、次世代技術の開発において世界に対して圧倒的な優位性を確保できます。
三井海洋開発などの参画企業による技術開発
南鳥島の開発は、官民一体となった「オールジャパン」の体制で進められています。その中核を担うのが、海洋開発のスペシャリストである民間企業各社です。
例えば、**三井海洋開発(MODEC)**は、石油やガスの洋上生産設備(FPSO)で世界的な実績を持つ企業です。深海から流体を吸い上げ、船上で処理・貯蔵し、輸送船に移すという一連の技術は、レアアース泥の開発と密接に関連しています。彼らが培ってきた長年のノウハウが、揚泥システムの設計や運用に惜しみなく投入されています。
また、マリコン大手の東亜建設工業は、海底の泥を扱う「解泥(かいでい)」技術の専門家として参画しています。吸い上げた泥から不要な成分を効率的に分離し、有用なレアアース成分だけを濃縮する技術は、採掘の経済性を高めるために不可欠です。これらの企業の技術がパズルのピースのように組み合わさることで、世界初という巨大な壁を打ち破ろうとしています。
日本の悲願である重希土類の自給自足の実現
レアアースの中でも、特に希少価値が高く調達が困難なのが「重希土類」です。ジスプロシウムやテルビウムといった元素は、強力なネオジム磁石の耐熱性を高めるために必須ですが、その供給源のほとんどが中国の特定の地域に集中しています。南鳥島のレアアース泥には、これら重希土類が豊富に含まれている点が最大の特徴です。
日本にとって、重希土類の自給自足は長年の悲願でした。これまで、磁石メーカーなどは中国からの供給が止まるたびに、代替材料の開発や減量技術の向上に躍起になってきました。しかし、物理的な供給源を国内に持つこと以上の解決策はありません。南鳥島の資源は、日本のハイテク産業が抱える最大の懸念事項を解消する可能性を秘めています。
重希土類を自前で確保できるようになれば、製品の性能向上はもちろんのこと、価格競争力の面でも大きなアドバンテージを得ることができます。これは、単なる材料の調達問題を超え、日本のものづくりが世界で生き残るための生存戦略そのものと言えます。
次世代のEV・防衛産業への影響と供給網の変化
南鳥島レアアースの恩恵を最も直接的に受けるのは、電気自動車(EV)産業と防衛産業です。これらの分野では、高性能なモーターや精密なセンサー類が多用され、レアアースはまさに「産業のビタミン」として欠かせない存在となっています。
EVにおいては、駆動用モーターの磁石に大量のレアアースが使用されます。国産資源が活用されれば、トヨタやホンダといった日本の自動車メーカーは、不透明な国際情勢に振り回されることなく、安定した増産計画を立てることが可能になります。一方、防衛産業においても、ミサイルの誘導装置やレーダーシステムなどの最先端装備にレアアースは必須です。これらを国産資源で賄うことは、防衛装備品のサプライチェーンを自国で完結させることを意味し、国家の防衛力を盤石なものにします。
このように、供給網の最上流である「資源」を確保することは、その後に続くあらゆる製造プロセスの安定化に直結します。南鳥島発のレアアースが市場に流れ出すことで、日本の産業界全体がこれまでにない安心感と活力を手に入れることになるでしょう。
南鳥島レアアース採掘いつから?内容のまとめ
- 南鳥島のレアアース採掘は2026年1月11日の出港から試験が始まる
- 今回の試掘スケジュールは2026年2月14日の帰港までを予定している
- 世界最大級の掘削能力を持つ地球深部探査船ちきゅうが投入される
- 人類が未踏の水深6,000メートルという超深海での採掘に挑戦する
- 海底から資源を効率的に吸い上げるためにエアリフト方式が採用される
- 2027年には1日あたり350トンの揚泥を目指す大規模実証へ移行する
- 南鳥島沖には日本の国内需要200年分を超える膨大な資源が眠っている
- 三井海洋開発や東亜建設工業といった日本屈指の民間企業が技術を結集している
- 中国によるレアアース供給の独占状態を打破し経済安全保障を強化する
- ジスプロシウムなどの希少な重希土類を国内で自給自足することを目指す
- 採掘される泥のレアアース濃度は中国の陸上鉱山の約20倍と非常に高い
- 放射性物質をほとんど含まないため精錬工程での環境負荷が低い
- EVの駆動用モーターや高性能な防衛装備品の安定生産に大きく貢献する
- 国産資源の確保により原材料価格の乱高下に左右されない供給網を構築する
- 2030年代の本格的な商業操業に向けて官民一体のロードマップが進んでいる
今回のプロジェクトが成功すれば、日本は自国のEEZ内に眠る富を活用し、新たな資源大国としての道を歩み出すことになります。まずは今月始まる試験の結果に、日本中の産業界が注目しています。
この記事が、南鳥島でのレアアース開発に関する最新情報の理解に役立てば幸いです。次なる大きな進展は、11日の出港以降に届けられる現地の作業報告となるでしょう。今後もこの国家プロジェクトの動向を追い続けていきます。



