2025年10月21日、世界最高峰のピアノコンクールである「第19回ショパン国際ピアノ・コンクール」の結果が発表され、16歳の天才ピアニストが世界に衝撃を与えました。中国の新星、**ティエンヤオ・リュー(Lyu Tianyao)**です。
彼女は、日本の桑原志織氏と共に第4位入賞という快挙に加え、ファイナルでの協奏曲の卓越した演奏が評価され、特別賞である最優秀コンチェルト賞も同時に受賞しました。
ポーランドの評論家からはその演奏を天使の清らかさと評され、年齢からは想像もつかない成熟した表現力で、ワルシャワの聴衆、そして世界中のクラシックファンを魅了しました。コンクールの模様を配信したYouTubeでも彼女の演奏は絶賛の嵐が巻き起こっています。
この記事では、ティエンヤオ・リューが本選で披露した感動的な演奏曲、彼女が選び抜いた使用ピアノ、そしてこの若き才能を育て上げた師事した教授や彼女の経歴について、詳しく解説します。
また、多くのファンが待ち望む**来日公演(ガラ・コンサート)**の最新情報にも迫ります。
この記事でわかること
- ティエンヤオ・リューが第4位入賞と同時に最優秀コンチェルト賞を受賞した詳細
- 「16歳の天才」「天使の清らかさ」と評される彼女の演奏スタイルとその魅力
- コンクールで使用したピアノや、彼女を指導した著名な教授について
- 今後の来日公演(入賞者ガラ・コンサート)のスケジュールと展望
ティエンヤオ ・リュー ショパンコンクール2025 4位入賞

- 最優秀コンチェルト賞も同時受賞
- 16歳の天才ピアニスト誕生
- 中国の新星、世界に衝撃を与える
- 演奏評「天使の清らかさ」
- 年齢を超えた成熟した表現力
最優秀コンチェルト賞も同時受賞
今回の第19回ショパン国際ピアノ・コンクールにおいて、ティエンヤオ・リューは第4位入賞という素晴らしい成績と共に、特別賞である「最優秀コンチェルト賞」の栄誉にも輝きました。
この賞は、ファイナル(本選)で演奏されたピアノ協奏曲の中で、最も優れた演奏を行ったファイナリストに対して贈られるものです。彼女は、アンドレイ・ボレイコ指揮ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団と共に、ショパンの《ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11》を演奏しました。
多くのコンテスタントがプレッシャーの中でオーケストラとの調和に苦心する中、彼女の演奏は卓越した技術と豊かな音楽性、そしてオーケストラをリードするかのような堂々とした存在感を示したと考えられます。16歳という若さで、ショパンの初期の傑作であるこの大曲を見事に弾きこなし、審査員から最高の評価を得たことは、彼女の非凡な才能を明確に証明しています。
第4位入賞という結果だけでも快挙ですが、この最優秀コンチェルト賞の受賞は、彼女が単なる技巧派ではなく、オーケストラとも対等に渡り合える総合力の高い「音楽家」であることを強く印象付けました。
16歳の天才ピアニスト誕生
ティエンヤオ・リューのプロフィールで最も注目すべき点は、その年齢です。彼女は2008年10月21日生まれ。つまり、コンクールの結果が発表された本日2025年10月21日は、彼女の16歳の誕生日にあたります。
このような若さで、5年に一度開催される世界で最も権威あるショパンコンクールのファイナリストとなり、第4位に入賞、さらに特別賞まで受賞するという事実は、まさに「天才ピアニストの誕生」と呼ぶにふさわしい出来事です。
ショパンコンクールは、非常に過酷なスケジュールと精神的な重圧の中で、ショパンの多様な作品群を弾きこなす持久力と深い理解力が求められます。過去の大会でも10代のファイナリストはいましたが、彼女のように圧倒的な存在感と完成度で上位入賞を果たす例は稀です。
コンクールの公式YouTubeチャンネルには、世界中から「スター誕生の瞬間に立ち会えた」「信じられない才能だ」といった驚きと称賛のコメントが殺到しており、彼女の劇的な登場が世界中の音楽ファンにとっていかに大きな出来事であったかがうかがえます。

コンクールまでの主な経歴
彼女は、今回のショパンコンクールが開催される前から、すでに数々の国際コンクールでその才能を示していました。2024年には、ドイツで開催された「第19回エットリンゲン国際ピアノコンクール」で第1位を獲得しています。
さらに同年、ショパンの故郷ポーランドのシャファルニアで開催された「第31回ショパン国際ピアノコンクール for Children and Youth」においても第1位およびグランプリを受賞しており、若くしてショパン弾きとしての高い評価を確立していました。これらの実績が、今回のワルシャワ本大会での快挙に繋がったことは間違いありません。
中国の新星、世界に衝撃を与える
近年、ショパンコンクールにおいてアジア勢、特に中国からの出場者の活躍は目覚ましいものがありました。今回のコンクールでも、第3位にワン・ズートン(Zitong Wang)、第4位にティエンヤオ・リューと、2名の中国出身ピアニストが上位入賞を果たしています。
その中でも、ティエンヤオ・リューの登場は「中国の新星」として、ひときわ鮮烈な印象を残しました。彼女は、北京中央音楽学院付属中学校で学んだ後、現在はポーランドに渡り、研鑽を積んでいます。
2024年には、ドイツのエットリンゲン国際ピアノコンクールや、ポーランドで開催されたショパン国際ピアノコンクール for Children and Youthで第1位を獲得するなど、すでに国際的な舞台で頭角を現していました。
しかし、今回のショパンコンクール本大会での活躍は、これまでの実績とは比較にならないほどの大きな飛躍点となります。彼女の成功は、中国におけるクラシック音楽教育の高い水準と、次世代の才能が次々と育っている現状を世界に示すものとなりました。弱冠16歳にして、すでに世界トップレベルのピアニストとしてその名を刻んだのです。

演奏評「天使の清らかさ」
彼女の演奏スタイルを象徴する言葉として、メディアやファンの間で広く使われているのが「天使の清らかさ」という表現です。
これは、ポーランドの著名な音楽評論家であるヤン・ポピス氏が、第2次予選での彼女の演奏を聴いて発した賛辞とされています。この評価は、彼女の演奏が持つ独特の魅力を的確に捉えています。
彼女の音色は非常に透明感があり、一点の曇りもない純粋さが特徴です。テクニック的に難しいパッセージでも力任せになることなく、軽やかで繊細なタッチを失いません。特に弱音(ピアニッシモ)の美しさは格別で、聴く者の心を洗い流すような清らかな響きを持っています。
また、彼女の音楽には、計算された技巧を超えた、生まれながらの詩情や無垢な感性が溢れています。YouTubeのコメント欄にも「水のように柔らかな演奏」「心が浄化されるようだ」といった感想が多く見られ、多くの人々が彼女の演奏に深い癒しと感動を覚えていることが分かります。この「天使の清らかさ」こそが、彼女を他のコンテスタントと一線を画す最大の武器であると考えられます。
年齢を超えた成熟した表現力
ティエンヤオ・リューが「天才」と称される理由は、単に若いから、あるいは技巧が優れているからだけではありません。最も驚くべき点は、彼女が16歳という年齢にして、すでに「成熟した表現力」を身につけていることです。
ショパンの音楽、特にコンクールの課題曲となる晩年の作品(例えば、ファイナルで課された《幻想ポロネーズ》や、第1次予選で演奏した《舟歌》など)は、人生の機微や深い苦悩、内省的な思索を背景に持っており、若手ピアニストがその本質を表現するのは非常に困難です。
しかし、彼女の演奏は、楽曲の構造を深く理解し、音色の幅広さを自在に操り、一つ一つのフレーズを見事に形作っていました。そこには、若さ特有の勢いだけでなく、作品全体を見通す客観性や、聴衆を引き込む物語を構築する力が備わっていたのです。
評論家やファンからは「並外れた成熟度」「弱冠16歳とは思えない存在感」と称賛されており、技術的な完成度と深い精神性が奇跡的なバランスで両立している点が、彼女の最大の魅力と言えるでしょう。
ティエンヤオ ・リュー ショパンコンクール2025 4位までの軌跡

- YouTube絶賛の演奏動画
- 本選 演奏曲とプログラム
- コンクールでの使用ピアノ
- 師事した教授と経歴
- 来日公演(ガラ・コンサート)の予定
- 総括:ティエンヤオ ・リュー ショパンコンクール2025 4位の快挙
YouTube絶賛の演奏動画
Chopin Institute
今回のショパンコンクールは、前回大会に引き続き、全日程が公式YouTubeチャンネル(Chopin Institute)でライブ配信され、世界中のファンがリアルタイムで演奏を楽しめました。中でも、ティエンヤオ・リューの演奏動画は、コンクール期間中から爆発的な再生回数を記録し、YouTube上で絶賛の嵐が巻き起こっています。
Chopin Institute
例えば、彼女の第2次予選の動画(2025年10月11日公開)は、わずか9日間で30万回再生を突破。コメント欄には「ショパンコンクールを聴く醍醐味は、スター誕生の瞬間に立ち会えることだ」「こんな無垢で純粋な妖精のようなピアニストは初めてだ」といった日本語のコメントから、「She is special. Very very special.(彼女は特別だ。本当に、本当に特別だ)」「A star is born.(スターが生まれた)」といった英語のコメントまで、世界各国の言語で称賛が溢れています。
Chopin Institute
特にファイナルの動画(2025年10月18日公開)は、公開からわずか2日間で43万回以上再生されており、彼女への注目度の高さがうかがえます。オーケストラとの協奏曲では、16歳とは思えない堂々とした演奏を披露し、演奏後には指揮者と抱き合い、最後には指揮者の頭に自分の頭をこつんと当てる愛らしい仕草(56分11秒頃)も見られ、その人柄も含めて多くのファンの心を掴みました。
これらの動画は、彼女がコンクールでどのような演奏を披露し、なぜこれほどまでに高く評価されたのかを直接知ることができる、貴重な記録となっています。
本選 演奏曲とプログラム
Chopin Institute
ティエンヤオ・リューが、コンクールの各ステージでどのようなプログラムを組んで臨んだのかは、彼女の音楽性を知る上で非常に興味深い点です。特に、彼女が最優秀コンチェルト賞を受賞した本選(ファイナル)での演奏曲は、《幻想ポロネーズ 変イ長調 作品61》と《ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11》でした。
第19回大会からの変更点
今回のコンクールでは、ファイナルの課題曲が変更され、従来のピアノ協奏曲1曲に加え、ショパン晩年の大作である《幻想ポロネーズ》が必須となりました。これにより、初期の華麗な作品(協奏曲)と、晩年の内省的で複雑な作品(幻想ポロネーズ)という、スタイルの全く異なる2曲を通して、ピアニストの総合力が問われることになったのです。
彼女は、この難易度の高い課題に対し、両作品の魅力を最大限に引き出す演奏を披露しました。
各ステージでの主な演奏曲
彼女が1次予選からファイナルまで演奏した主な曲目を、以下の表にまとめます。
| ステージ | 主な演奏曲 |
| ファイナル | 幻想ポロネーズ 変イ長調 作品61 |
| ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11 | |
| 第3次予選 | マズルカ 作品59 (第1番 イ短調, 第2番 変イ長調, 第3番 嬰ヘ短調) |
| ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 作品35(葬送) | |
| 子守歌 変ニ長調 Op. 57 | |
| 第2次予選 | アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 作品22 |
| ロンド 変ホ長調 作品16 | |
| 「ドン・ジョヴァンニ」の「お手をどうぞ」による変奏曲 作品2 | |
| 24の前奏曲 作品28より (第19番~第24番) | |
| 第1次予選 | 舟歌 嬰ヘ長調 Op. 60 |
| 華麗なる大円舞曲 変ホ長調 作品18 | |
| 練習曲 嬰ト短調 作品25-6(3度のエチュード) |
このように、各ステージでショパンの多様なジャンルの作品を取り上げ、その全てで高いレベルの演奏を維持し続けたことが、第4位入賞および最優秀コンチェルト賞という輝かしい結果に繋がりました。
コンクールでの使用ピアノ
ショパンコンクールでは、出場者自身が演奏に使用するピアノを、複数のメーカーから選定します。第19回大会では、スタインウェイ(Steinway & Sons)、ヤマハ(Yamaha)、カワイ(Kawai)、ファツィオリ(Fazioli)、ベヒシュタイン(C. Bechstein)の5つのメーカーが公式ピアノとして提供されました。
ティエンヤオ・リューが、このコンクールで一貫して使用したピアノは、イタリアのメーカーである「ファツィオリ(Fazioli)」でした。(モデル: F278 / シリアルナンバー: 2783701)
ファツィオリは、スタインウェイに比べると歴史は浅いものの、その透明感のある明るい音色と、豊かな響きで近年急速に評価を高めているピアノです。YouTubeのコメント欄にも「ファツィオリは才能あるピアニストに触れられると本当に輝く」といった書き込みが見られ、彼女の「天使の清らかさ」と評される音色と、ファツィオリのピアノの特性が見事に融合した結果と言えるでしょう。
ちなみに、今大会で第1位に輝いたエリック・ルーも、同じくファツィオリを選択していました。ある記事によれば、エリック・ルーは「終始、ファツィオリのピアノで内省的な独特の世界観を聴かせた」と評されており、今回のコンクールはファツィオリというピアノメーカーにとっても大きな成功を収めた大会となったと考えられます。

師事した教授と経歴
ティエンヤオ・リューの並外れた才能がどのように育まれたのか、その背景にある教育環境、特に師事した教授に注目が集まっています。
彼女の公式プロフィールによると、中国の北京中央音楽学院付属中学校でホア・チャン教授に師事した後、ポーランドに渡りました。そして現在は、ポズナンのイグナツィ・ヤン・パデレフスキ音楽アカデミーで、カタジナ・ポポヴァ=ジドロニ(Katarzyna Popowa-Zydroń)教授のもとで学んでいます。
このカタジナ・ポポヴァ=ジドロニ教授は、ポーランドを代表するピアノ指導者の一人であり、特に有名なのは、2005年の第15回ショパンコンクールで優勝したラファウ・ブレハッチを育て上げたことです。
ジドロニ教授自身もピアニストとして活躍する傍ら、ショパンコンクールの審査員を長年務めており(今回の第19回大会でも審査員を務めています)、ショパン演奏の真髄を知り尽くした指導者です。
若きティエンヤオ・リューが、ショパンの故郷であるポーランドで、ブレハッチを育てた名教授から直接指導を受けているという事実は、彼女の演奏にみられる深い音楽性と成熟した表現力の源泉の一つであることは間違いないでしょう。
来日公演(ガラ・コンサート)の予定
これほどのセンセーションを巻き起こしたティエンヤオ・リューの生演奏を、日本で聴くことはできるのでしょうか。
現時点(2025年10月21日)では、彼女個人のリサイタルとしての来日公演は発表されていません。しかし、ショパンコンクールの入賞者は、コンクール翌年に主催のジャパン・アーツによって招聘(しょうへい)され、全国で「入賞者ガラ・コンサート」に出演するのが通例です。
今回も、2026年1月に全国8都市でのガラ・コンサート開催がすでに発表されています。ティエンヤオ・リューは第4位入賞および最優秀コンチェルト賞受賞という輝かしい成績を収めたため、このガラ・コンサートに出演するメンバーとして来日する可能性は非常に高いと考えられます。
以下に、現在発表されている「第19回 ショパン国際ピアノ・コンクール2025 入賞者ガラ・コンサート」のスケジュールをまとめます。(注:出演者は後日発表予定のため、ティエンヤオ・リューの出演を保証するものではありません。必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。)

第19回 ショパン国際ピアノ・コンクール2025 入賞者ガラ・コンサート 日程
- 2026年1月22日(木) 熊本県立劇場 コンサートホール
- 2026年1月23日(金) 福岡シンフォニーホール
- 2026年1月24日(土) ザ・シンフォニーホール (大阪)
- 2026年1月25日(日) 京都コンサートホール
- 2026年1月27日(火) 東京芸術劇場 コンサートホール
- 2026年1月28日(水) 東京芸術劇場 コンサートホール
- 2026年1月29日(木) ミューザ川崎シンフォニーホール
- 2026年1月31日(土) 愛知県芸術劇場 コンサートホール
日本のファンにとって、この「16歳の天才」の瑞々しい演奏に生で触れられる、またとない機会となるでしょう。正式な出演者の発表が待たれます。
総括:ティエンヤオ ・リュー ショパンコンクール2025 4位の快挙
ティエンヤオ・リューが第19回ショパン国際ピアノ・コンクール2025で第4位に入賞したことは、歴史的な快挙です
- ティエンヤオ・リューがショパンコンクール2025で第4位に入賞
- 中国出身、2008年10月21日生まれのピアニスト
- 結果発表当日は彼女の16歳の誕生日という劇的な展開
- 第4位入賞と同時に最優秀コンチェルト賞も受賞
- ファイナルでは《ピアノ協奏曲 第1番》と《幻想ポロネーズ》を演奏
- ポーランドの評論家から「天使の清らかさ」と絶賛される
- 16歳とは思えない「成熟した表現力」も高く評価
- 公式YouTubeチャンネルの演奏動画が世界中で再生され絶賛の嵐
- コンクールでの使用ピアノはファツィオリ(Fazioli)
- 現在はポーランドの名教授カタジナ・ポポヴァ=ジドロニ氏に師事
- 同教授は2005年優勝者ラファウ・ブレハッチの指導者でもある
- 2026年1月の「入賞者ガラ・コンサート」での来日が期待される




